AIを使ってMVを作る。
言葉にすると簡単そうですが、実際にやってみると「曲を作る」だけでもなく、「動画を生成する」だけでもありませんでした。
今回作っているのは、オリジナル曲『ラブパンデミック』のフルMVです。形式は横型16:9、尺は2〜3分ほど。まずフル版を作り、完成後にサビなどの強い部分を切り出してショート動画にも展開する予定です。
この記事では、Sunoで楽曲を作り、ChatGPTで絵コンテを作り、DreaminaのSeedance 2.0/Seedance 2.0 Miniで映像を生成し、CapCutで編集するまでの流れを、制作途中の実例としてまとめます。
まだMVは完成していません。ですが、やり方はかなり固定されてきたので、途中経過だからこそ分かる「どこで時間がかかるのか」「どこを人間が判断するのか」まで書いていきます。

今回作っているMVの概要
今回のMV『ラブパンデミック』は、J-popクラブミックス系の楽曲に、三味線、808サブベース、赤い照明、DJ、翼の男女、ライブ会場のような世界観を組み合わせた映像作品です。
制作に使っている主なツールは以下です。
| 工程 | 使用ツール |
|---|---|
| 歌詞・構成作成 | ChatGPT |
| 楽曲生成 | Suno |
| 絵コンテ作成 | ChatGPT |
| 動画生成 | Dreamina / Seedance 2.0 / Seedance 2.0 Mini |
| 編集 | CapCut |
有料で使っているものは、ChatGPT Plus、Sunoの有料プラン、Dreaminaのスタンダード系プランです。料金は時期によって変わるため、この記事では「実際に有料プランを使って制作している」という前提で見てください。
AIだけで作る、は完全自動ではない
最初に大事なのは、「AIだけでMVを作る」と言っても、完全自動で完成するわけではないということです。
実際に人間がやっている作業はかなりあります。
- AIの案を選ぶ
- 歌詞やプロンプトを手直しする
- 生成された映像の使える部分を選ぶ
- 破綻している部分を切る
- CapCutで曲に合わせてカット編集する
- 歌詞テロップを入れる
- 色調やエフェクトを調整する
つまり、AIは素材を作る役割で、人間は監督・編集者の役割です。
特にMV制作では、「生成された15秒を全部使う」のではなく、使える部分だけを切ってつなぐことが重要でした。
まずSunoで曲を作る
今回の歌詞は、AIや感染、恋愛、量産感を混ぜた『ラブパンデミック』というテーマで作っています。
実際の歌詞の一部はこちらです。
【サビ前】
ラブラブラ 地味に見る君にアイラブユー
アブラカタブラ これで君とランデブー
マニュアル化したアイラブユー
日に日に君とまんえんちゅー
知らないフリで感染中
【サビ】
愛がはびこるパンデミック
神様の量産ラインに
祈るエンディング
救うてんしか
狂う悪魔か
祈る僕らは
何を待つのか
Sunoに入れた曲調プロンプトは以下です。
Up-tempo J-pop club mix at 128–132 BPM with added sub-heavy kick layering and deep 808 presence. The main four-on-the-floor kick is reinforced by a low-tuned sub kick that extends the impact of each downbeat, creating a thicker, chest-rattling low-end. Additional 808 hits, booms, and tuned subs punctuate fills and transitions, emphasizing turnarounds and chorus drops. The bass spectrum is carefully sculpted so the original thick sub-bass and electric bass lines interlock with the new sub kick and 808s, maintaining clarity while feeling even more powerful. Shamisen still delivers bright, percussive riffs and melodic hooks over the dense rhythm bed, cutting through the expanded low frequencies. Crisp electronic drums, punchy claps, syncopated hi-hats, and airy synth pads remain, now supported by more aggressive low-end saturation and subtle sidechain to the sub kick and 808. Overall texture is darker, heavier, and more club-oriented, optimized for large sound systems and bass-focused lis
このプロンプトは1000字制限の関係で、実際に入力した時点でも最後が途中で切れています。きれいに整えた完成文ではなく、実際の入力例としてそのまま載せています。

人物と世界観を固定するために参照画像を使う
動画生成AIで一番難しいのは、カットごとに人物の顔や衣装が変わってしまうことです。
そこで今回は、毎回人物のターンアラウンド画像を入れています。さらに、会場の構造や照明を固定するために、環境リファレンスも入れています。




ここで大事なのは、「プロンプトだけで完全に固定する」のではなく、「参照画像を基準にして変化を抑える」ことです。
前の動画を参照する機能もありますが、クレジット消費が激しいため今回は基本的に使っていません。人物ターンアラウンド、環境リファレンス、プロンプトで補う方法を取っています。
ChatGPTで絵コンテを作る
いきなりSeedanceに入れるのではなく、まずChatGPTで絵コンテを作ります。
今回は「5秒、16:9、R2V、超クローズアップ主体」という条件で、以下のようなプロンプトを使いました。
5秒、16:9、R2V、超クローズアップ主体。
@Video1は採用済み直前カット。DJの姿勢、赤い照明、歪んだ黒い輪、発光中の百合タトゥーを引き継ぐ。@Image2はマッチョDJの顔、牙、筋肉、衣装、右腕を固定する。@Image1と@Image4は空中で身構える男女。@Image5は会場と4基のスピーカーを固定する。
0:00–0:01.3
DJの口元と牙の極端なクローズアップ。軽く開いた口から白い吐息が一度漏れる。牙の輪郭へ赤い反射光が走る。顔や牙を変形させない。
0:01.3–0:03.6
DJが右拳をゆっくり持ち上げる。カメラは右拳の超クローズアップ。指が順番に内側へ入り、拳を強く握る。指の関節、皮膚の張り、肩、上腕、前腕の筋肉の収縮を見せる。握力が強まるほど、腕と胸の百合タトゥーが赤黄色に強く脈動する。
頭上の黒い輪はさらに楕円へ歪み、輪の内側に暗い空気の揺らぎが集まる。周囲の光が内側へ引かれ、空間が圧縮されているように見える。
4基のスピーカーは白いコーンの中心だけが赤く染まり、低音の圧力で同時に小さく前後へ震える。黒い鏡面床には、赤い輪郭と持ち上げた拳が歪んで反射する。
画面奥ではイケメンと美女が空中でほぼ静止。イケメンは四枚の白い翼を少し開き、三味線を胸前へ寄せる。美女は三叉槍を身体の外側へ逃がし、白い翼と黒い翼の角度だけを調整する。
0:03.6–0:05.0
拳が下降を始めた瞬間、DJの顔を中心にドリーズーム。DJの顔の大きさはほぼ維持し、背景のチェーン、鳥籠、光の糸だけが奥へ引き伸ばされる。右拳はまだ天板へ触れない。打撃直前でカット。
音:低音が徐々に強くなり、最後は打撃直前の無音。台詞なし。
右拳と指を正しく維持する。拳を増やさない。黒い輪、スピーカー、人物、翼、楽器を複製しない。
このプロンプトから、実際に以下のような絵コンテを作りました。

絵コンテでは、0:00〜1.3秒、1.3〜3.6秒、3.6〜5.0秒のように、タイムコードごとに構図と動きを確認できます。
ここで絵コンテを作る目的は、完成映像を完全に決めることではありません。
どのカメラで、どの動きを、どの順番で見せるのかを生成前に整理するためです。特にAI動画では、プロンプトが長くなるほど意図がぼやけることがあるので、先に絵コンテ化しておくと、どこを大事にしたいのか確認しやすくなります。
同じプロンプトをSeedance 2.0にも使う
今回おもしろいのは、絵コンテ用と動画生成用で別々のプロンプトを作っていないことです。
ChatGPTで絵コンテを作ったプロンプトを、そのままSeedance 2.0にも入れています。
Dreaminaでは、Seedance 2.0またはSeedance 2.0 Miniを使い、基本は16:9・15秒で生成しています。
前の動画を参照する機能は使わず、参照画像とプロンプトで補っています。理由は、前動画参照はクレジット消費が大きいからです。

生成された映像は全部使わない
AI動画で大事なのは、生成された映像を全部使おうとしないことです。
今回も、基本は15秒で生成しますが、絵がおかしいところがあれば使いません。カットが変にならないように、CapCutで切って貼って調整しています。
例えば、手や指が崩れる、人物が増える、顔が変わる、翼や楽器が複製される、といったことが起きます。
だから、生成結果を見るときは「失敗したかどうか」だけではなく、「どの部分なら使えるか」を見ます。
この動画では、三叉槍の動きが不自然になった部分は使わず、問題のないカットだけを採用しました。
この工程が一番時間がかかります。
今回も、制作開始から1週間以上経っていますが、時間がかかっている理由は「生成回数が多いから」だけではありません。映像の統一感や破綻を直すこと、使える素材を選ぶことに時間がかかっています。
CapCutで曲に合わせて編集する
最後はCapCutで編集します。
Sunoで作った曲に合わせて、Seedanceで生成したカットを並べます。破綻した部分は切り、使える部分だけを残し、曲の盛り上がりに合わせてつなぎます。
さらに、歌詞テロップ、色調、エフェクト、最終調整もここで行います。

この段階になると、AIで作った素材をそのまま並べるだけではMVになりません。
曲のどこで見せ場を置くか、サビでどのカットを使うか、破綻している部分をどう隠すか。ここは人間の編集判断がかなり入ります。
フルMVを作ってからショートへ切り出す
今回の最終形は、まず横型16:9のフルMVです。
その後、サビなどの強い部分をそのまま切り出してショート動画にします。
最初からショートだけを作る方法もありますが、今回はフルMVとして世界観を作り込み、その中から一番強い部分をショート化する方針です。
この方が、TikTokやYouTubeショートに出すときも、単発の短い動画ではなく「元になる作品がある」状態で見せられます。
実際にやって分かったこと
ここまで作ってみて分かったことは、AI MV制作で大事なのは、ツールの性能だけではないということです。
特に重要だったのは以下です。
- 人物ターンアラウンドを毎回使う
- 環境リファレンスで会場や世界観を固定する
- 先に絵コンテを作って構図と動きを確認する
- 同じプロンプトを絵コンテと動画生成に再利用する
- 生成された15秒を全部使わない
- 破綻部分を切って、使える部分だけ採用する
- 最終的にはCapCutで曲に合わせて編集する
AI動画は、ボタンを押せば完成するものではありません。
でも、曲、絵コンテ、参照画像、動画生成、編集を組み合わせれば、個人でもフルMV制作にかなり近づけます。
まとめ
今回は、Suno、ChatGPT、Seedance 2.0、CapCutを使って、オリジナル曲『ラブパンデミック』のフルMVを作る流れを紹介しました。
現在はまだ制作途中ですが、やり方はかなり固まってきました。
流れをまとめると、以下のようになります。
- Sunoで曲を作る
- ChatGPTで歌詞や世界観を整理する
- 人物ターンアラウンドと環境リファレンスを用意する
- ChatGPTでタイムコード付きの絵コンテを作る
- 同じプロンプトをSeedance 2.0に入れて動画生成する
- 破綻部分を避けて使える場面だけ選ぶ
- CapCutで曲に合わせて編集する
- 完成したフルMVからショート版を切り出す
AIだけでMVを作るというより、AIを使って「素材を作り、人間が作品に仕上げる」という感覚に近いです。
完成後には、実際にどのカットが採用されたのか、どこで失敗したのか、どれくらい時間がかかったのかも追記していきます。
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